最近、「Audible(オーディブル)」というものに手を出した。
なんか、ナレーターさんや声優が本を朗読してくれるあのサービスだ
初回30日間が無料とのことで、今月の頭に何となく登録してみたのでその感想を日記に残したい。
感想に入る前に、まずは俺の読書に対する姿勢の部分から順を追って話していこうと思う。オーディブルの詳しい感想に関しては第3章で。
第1章 読書スタイルのおこり
俺が本格的に読書をするようになったのは社会人になってからで、子どもの頃は「怪談レストラン」や「ゾロリ」あとは星新一とかをテキトーに読んでたくらいだった。
なんで急に大人になってから読書しまくったのかと考えてみるとぶっちゃけ「なんか本読んでる奴って頭良さそうに見えるから」だ。
過去の記事でも触れてる回はあるが、俺は元々探偵事務所で働いており、浮気調査でターゲットを尾行する仕事をしていた。
俺は「電車で対象者を追っかけ回す担当」だったので毎度ターゲットの後ろをトコトコついて行き、電車に乗ればソイツと同じ車両に入り視界に捉えたまま浮気現場まで案内してもらうのが主な仕事内容だった。
結構危険な仕事かと思われがちであるが、実際に現役のときに尾行が気付かれたことは1度もなかった。それもそのはず、現代人である彼らは全員電車の中ではお手元のスマホに夢中で、今まさに探偵が追ってきているなどとは夢にも思っていないことがほとんどだからだ。
無警戒な彼らは車内で浮気相手とのやり取りに鼻を伸ばし、現場最寄りで警戒することなく降車し、そのまま追跡者に場所を簡単に知られてしまうのだ。
滅茶苦茶ダサい。
当時は20代成り立てで若かったこともあり、社会に出てここまで滑稽な大人の姿を連続で見ることになるとは思っていなかった為、そのサマに酷く失望したものである。
自分より歳上の社会人の大人だからと言ってみんな賢い訳では無いのだ。
そこで俺は考えた。
「今のうちから賢い大人になる準備をしておこう!」と
で、当時の俺が考える「賢い人」のイメージが「本を読んでる人」だったので何となく読書を開始してみたわけである。
あと、電車の中でスマホをいじってる人の中で俺だけ本を読んでたらなんか気持ち良いわ、と斜に構えた発想も96%くらいはあった。
とにかく形から入ったわけですね。
結果、物語の世界に大どハマりを起こしてしまうことに。
特に「元探偵」という肩書きを活かした訳では無いが、ミステリに偏った読み方を最近ではしている。
なんと今月だけで10冊読んだ。これは冒頭でも触れたオーディブルも合わせての合計なのだが、詳しくは次の章で触れようと思う。

第2章 有栖川 夏葉

さて、この章ではいよいよオーディブルについて話していこうと思う。
今まで触れてこなかった「聞く読書」のサービスに取り組もうとしたキッカケといえば、単純にノリである。もともと作業中や移動中にラジオを聞く習慣があるため、「言ってることを、ながら作業で聞き取る耳」は出来上がっている。しかも現代のドパガキ風に倍速でも対応可能に鍛錬済みである。
読書に関してはずっと紙媒体派である為、最初は抵抗こそあったが
オーディブルのアプリで、本棚に眠ったまま読めていない作品───いわゆる“積読”作品を検索してみたところ見事にヒットしたことがキッカケで天才的なひらめきを得て、これは有効活用するしかないという思いに至るまでになった。
そのアイデアとは
紙で今読んでる本とは別に、作業中や移動中、本を取り出せないような時は音声によって積読消化の時間が得られるのではないか?というものだ。
つまり同時進行的に2冊の本を交代で読むことができるのだ。
読書中(紙媒体)⇆作業中(積読/音声媒体) という風に。
例えば、休日。
読書をして、キリのいいところで栞を挟む。
そしてお腹がすいたら料理をしますよね。
俺はこの時にイヤホンを装着。オーディブルにてラジオ感覚で積読作品の朗読を聞けると言うわけだ。1日に2冊同時進行で交代で読み進められるんだぜ。
「でも、なんか無理してコンテンツ消化してない?」
そんな声が聞こえてきた。
ノンノンノン。
これ、ナレーターの方がやはりプロなだけあって物語にすぐ引き込まれるんですよね。
料理中にイヤホン付け始めたけどそっから食事中、洗い物中、食後のコーヒー中までしっかり集中して聞いてましたわ。
その時に聞いてたのは『ホーンテッド・キャンパス』シリーズで、キャラものの短編集の小説だから朗読の区切りもつけやすいし、内容もライトよりな作品なのでオーディブルにはすこぶる相性が良かったんだと思う。
『ホーンテッド・キャンパス』は8巻まで読み終わっていたのだが一気に19巻まで買って保管してあったので、これを機に読み(聴き)進めていきたい。

手元に紙媒体で持ってるから音声で確認できなかった人名の表記とか難しそうな単語表記(一応ホラー作品なので民俗ワードが頻出する)を字面で見れるのもいいコンボである。
これにより、今月は10冊読破達成したということだ。
とはいえ、「作業中」にしかオーディブルを使っていないのはなんかもったいない気がして来る。
せっかくの無料期間なんだからもうちょっと楽しませてくれよ
次の休日、俺はオーディブルを使ってホーンテッド・キャンパスを読み進めるために「作業時間」を増やすことにした。
別に何かしてる時じゃないと開けないアプリではないのだが、ボーッとしてる時に使うのも逆にもったいない。
作業時間、空いた耳を使って有効活用できる!と喜んでいたオーディブルのサービスだが、今では
オーディブルを有効活用するために何かできることを探す、という見事な逆転現象が起こったのだ。
イヤホンを付け、オーディブルを流す。なにか出来ることはないか。
手始めに俺は、外へ出た。
日頃から日記を読んでいる方は驚いたことであろう。あんなに外出を拒んでいたオタクのもやし男が、オーディブルの魔力により「何かしなければならない」という焦りに似た感情から玄関のドアをいとも簡単に開けたのだ。
だって部屋の中の作業だと料理以外で音声に集中できるもの無いんですもの。
何も考えずに過ごすことが出来ると判断した「散歩」を行いながらでテキトーな距離の商業施設まで向かう。
ホーンテッド・キャンパスの朗読音声の中ではヒロインのこよみちゃんとの青春キャンパスライフが繰り広げられている。楽しいお。
しばらく物語の世界に浸りながら散歩を続け、一応の目的地であった商業施設内まで足を踏み入れる。やっぱ歩き回るのも室内がいい。
作中では主人公が「こよみちゃんとデートがしたい」や「もっと早くから体を鍛えておけば」など草食男子の悩みを吐露しているところであった。
ふと現実の世界を見ると俺は施設内のゼビオスポーツ付近をウロウロしていた。
主人公のセリフが現実世界の景色とリンクする。「もっと早くから体を鍛えておけば」……か
興味本位でそのまま店内にて筋トレグッズを見て回ることにする。たしかにジムにいる人達ってみんなイヤホンしながらトレーニングしてるよな……
もしかしたら全員ホーンテッド・キャンパスを読んでるんじゃないか?
俺も、やっちゃう?オーディブルトレーニング(略してディブトレ、ね)
休日にいきなり外出する、という自分の殻を簡単に破ることができた今、更に外側の世界に足を踏み入れることが出来るかもしれない。
俺は触ったこともない筋トレグッズコーナーを物色する。が、足を踏み入れた途端、緊張が襲ってくる。酷く居心地が悪い。
陰キャでオタクな読書クンは、筋肉とは無縁の生活を送っている。
つまり性質が真反対な存在を前に自然と恐怖を覚えてしまっているのだ。いうなればマッチョが怖いのだ。
やせ細った、今にも死にかけなアスパラガスマンが筋トレコーナーに迷い込んだと知られた日には筋骨隆々のタンクトップ軍団につまみ出されるのは想像に難くない。
今日はオーバーサイズのアウターを羽織ってきている為、ヒョロガリなのはバレていないはずである。太陽光を嫌う引きこもりの習性が功を奏した。
とりあえず俺は自分がマッチョであるよう振る舞いながら筋肉ゾーンへ足を踏み入れることにした。猫背も直して、胸を張る。
うむ、探偵時代の変装スキルが行かせているじゃないか。
ホ〜これは新作のプロテインでマッスルか〜。それにしても今日は涼しいマチョね〜
と自然と溶け込みながら店内を突き進む。
筋トレグッズには、なんだかよく分からないもの達が陳列してあった。
その中でも1番分かりやすかったのは「ダンベル」だ。さすがにダンベルくらいは知ってる。あれでしょ、手?で持つといわれてる。奴。
マッチョのフリも限界だったため、最初に目に付いたダンベルを手に取って、もう勢いそのまま買って帰ってしまおうか……と思い持ち上げようとしたその時、異変に気づく。
誰かが、見ている!
すぐ後ろにマッチョがいる!(気がする)
しかし異変はこれだけではない。
ダンベルの箱が、動かない。
どこかに固定されている?
と思いよくよく目を凝らしてみる。
箱に書いてあるのは英語だらけだったが、そこでかろうじて読み取れる文字があった。「10kg」
俺は中腰のまま絶望する。
そして考える。
いま俺は重さを確認せずに数本の指先だけで10kgの物体を持ち上げようとしているらしいため、田植えのおじいちゃんみたいな姿勢になっている。
背後には人の気配。そして俺は今マッチョに擬態しているためヒョロガリだとバレるのはマズい。マッチョは10kgくらい簡単に持ち上げることができるだろうから、ここで変な挙動をするのは不自然だ。アイテムは棚の最下段に陳列されている。その時点で「あ、重いから1番下に置いてあるのね」と推理しておけばよかった。
……と必死に考え、俺は咄嗟に箱に書かれている英語の文を指先でなぞる。
そう、中腰からパッケージを読むマッチョの姿勢へ移行させる作戦だ。
そうすれば持ち上げの体勢も整えられるし、しっかり10kgの物体をレジまで運べるってもんだ。
そうだマチョ~、持とうとしたんじゃなく、英語を読もうとしたんだんだキンニク~
元探偵の擬態を、舐めるなよ。
完璧な作戦を実行すべく、中腰からおもむろに「しゃがみ」の姿勢をとる。
パペキッ!☆
ノイズキャンセリングイヤホンの朗読音声を貫通して響く大きな破裂音。
その一握りの火薬は己の両膝から発生したようである。
中腰からのしゃがみ姿勢を、俺の貧弱な身体は“充分に負荷のかかる運動”と判断したようで、両膝が悲鳴をあげたのだ。
終わった────と思い恐る恐る背後を振り返ると、誰もいなかった。
人の気配の正体は、とっくに通り過ぎた店員だったのだろうか。
それともヒョロガリの擬態がバレて今まさに異物を排除せんと筋肉ソルジャー達を招集しに行っているのだろうか。
両膝の小爆発と、ひとりであたふたしていた現状に整理が追いつかず、混乱した頭で俺は10kgの物体を火事場の馬鹿力で持ち上げそれをレジまで持って行った。
もちろんレジまで「あ、余裕で持ててます」感を出しながら。
家でパッケージを開けてみると、それは最大で10kgまで調整可能なダンベルだった。
これは使いやすい。最初は軽めのものからストレッチ感覚で動かしながらディブトレに励むとしよう。

ストレッチ中の読書は意外と効率よくて、寝落ちする心配がないってのが大きい。
よく仕事中の休憩時間中に読書をするのだが(スマートにも見えるので)、食後とかだとそれはもう、信じられないくらい眠くて、もう文字を目で追うとか、アホかと、それどころではなくなってしまう。本を開いて2ページで諦めて爆睡、という1番ダサいムーブを社内で何度かしている。
しかし体を動かしているとなれば話は別。そんな心配はなく逆に目が冴えまくって効率アップ!となるわけだ。
ところで、読書しながらダンベルを持ってる人いましたよね。アイドルで。
そう、放課後クライマックスガールズ所属の有栖川夏葉さんです。

彼女のこのイラストが実装された時(5,6年くらい前?)一部のインターネットでは話題となり、彼女は有栖川夏葉という覚えやすくも素晴らしい名前があるにもかかわらず「ダンベル君主論」と呼ばれていた。見るからに公共の場でやってるし、実際にいたら激ヤバ女ではある。
精神は見習っていきたい。


第3章 オーディブルの感想
めっちゃいいカモです!

終章 まとめ
気が付いたら6月最終日で急いで日記を書いている。あれからも継続してオーディブルを使用しているが、おそらく無料期間が過ぎてもサービス利用は続けるかな。少なくともホーンテッド・キャンパスの最新刊に追いつくまでは。
最新刊が22巻、俺は今月で9~14巻まで読んだ。もう少しだぜ。
オーディブルの設定で簡単に音声スピードを変更できるので、最近では2.3倍速で聴きながらダンベルを我武者羅に振り回している。22巻終了時点で体がどうなっているのか非常に楽しみである。
考えてみれば、若き日の俺が「賢い大人になる準備」として始めた読書習慣が、現在では「スマートなタイムパフォーマンス」と称してダンベルと戦う、2.3倍速イヤホン装着そうめん妖怪に成り下がっているようにも見えなくはない。相変わらず室内だし。
もっと賢く見えるように、次はダンベルを振り回しながらマキャベリの「君主論」でも読もうかしら。
どうだい?あの頃の俺よ。君の理想の「賢い大人」になれているかい?
