daisukeです。
メイド喫茶行って来た。初めて。(倒置法)
感想を書いていきます。
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ついこの間、同僚と飲みに行ってきました。
自分はお酒を全く飲まないので飲み会とかに全然参加しないんだけど、最近になってやっと「このまま拒否っててもキモいかも」と思い始めたのでとりあえず歳の近い輩を呼んで飲みに付き合ってもらいました。
呼んだのは先輩と年下同期の2人。
飲みに行くといってもそういうお店とかわからないからとりあえず全部任せて(誘っておいて)赤羽集合になり、なんか唐揚げがスゲー店でワイワイした。楽しかった。
俺「この後どうします?」
先輩「ここら辺色々あるから2件目どっか探そうか」
同期「どっか離れたとこでもいいっすよ」
俺「じゃあ秋葉原でメイドカフェ行きましょうか(神の一手)」
正直なんでいきなりメイドカフェに行こうってなったのか全く覚えてない。
誰かが提案したのは間違いないとは思うけど、気が付いたら風景が赤羽の飲み屋街からオタクの蔓延る電気街になってた。これがお酒の力…?
そして何を隠そう今日のメンツ、俺と同期くんは筋金入りのオタクなので秋葉原なんかほぼお庭みたいなものなのだ。迷子になった犬は自然にハウスに戻ってくるらしいし、酔ってフラフラになった俺らも同じ原理でここに帰って来ちゃったらしい。
秋葉原に到着すると先輩が「2人ともアキバにはよく来るの?」と聞いてくる。それに対し同期くんは「昨日来たわ」と返し先輩をドン引きさせていた。うちの同期舐めんなよな。
ついでに先輩は秋葉原の改札出た後の俺らの足が急に速くなったことにも驚いてた。置いてくけど?
まず初めに同期くんの買い物をゲーマーズで済ませ、その後ぐるっと秋葉原の散歩をする。
『お兄さんたちどうですかぁ~♡』
『こっちでコンセプトカフェやってまぁす☆』
コスプレやら派手な衣装やらを身に纏ったチャンネー達が一列に並ぶ通りを見かける。
さすが秋葉原。こういったコンセプトカフェの数はナンバーワンってもんよ。そこで同期くんの提案。
同期「これ、先輩がビビッときた衣装の人のとこ入りましょうよ」
たしかに欽ちゃんの仮装大賞かってくらいバラエティに富んだ衣装の女性が道で勧誘しているし、ぱっと決めるのは難しい。
ちらっと見るだけでも警官コス、女児服、軍服、メイドに忍者の姿も…。ダンガンロンパかな?
先輩「よ~し任せろ、とりあえず順番に見てみよう」
そのまま三人で通りを歩いてみることに。しばらくするとその場にいた全員がある衣装に目を留める。
俺「ちょっと待って、キョンシーいるんだけど」
先輩「キョンシーっ娘だ!」
同期「キョンシーアツいっすね」
全員のテンションが一気に上がる。きっと店の内装も電脳チャイナ風で楽しいに違いない。
念のため道のはずれで「キョンシーカフェ」と検索してみる。店の写真が見たい。
俺「アキバの…キョンシーカフェ……あったぞ」
グーグルマップに出てきたのは小籠包などの中華料理、妖艶に光る華美な提灯、そしてキョンシーに扮し腕をだらんと下げるキャストの写真。さらにその店のキャッチコピー、「死者の世界へようこそ」。
一同「完璧だ…」
満場一致で即決、我々は今からキョンシーカフェに乗り込むぞい!
ということで、道にいたお姉さんキョンシーに話しかけてみる。
俺「あの~今から三人行きたいんですけど、お店って近いですかね?」
キョンシー「えっほんとですか~?ありがとうございます~!実はちょっと遠いのでこのままご案内しちゃいますね!」
一同「は~~い!(ルンルン)」
─────愚かだった。
我々は何のためにグーグルマップを開いた?
何も確認せずにこのまま“偽キョンシー”にウキウキでついてしまったことを今では後悔している。
まずキョンシーは移動する時膝曲げねぇんだよ(厳)
ウキウキの俺らはルンルンでついて行きながらお姉さんとペラペラ雑談を始める。
お姉さん「コンカフェとかよく来るんですか〜?」
俺「いや初めてなんです〜」
嘘である。この男、雪の妖精のカフェやら宇宙人のカフェやらに昔行っていたことがある。
同期「秋葉原とかも全然来ないので、せっかくならそういう所行ってみようかなって」
嘘である。この男、目を閉じて秋葉原を散策し、嗅覚だけで居場所を当てることが出来るほど秋葉原に通っている。
お姉さん「そうなんですね〜^^」
そんな会話をしながら歩くこと数分。まだ着かない。
俺「お店ちょっと遠いんですね」
お姉さん「そうなんですよ〜〇〇カフェってお店なんですけど、最近できたから少し狭くってあまり場所も良くなくて💦」
俺(ん…?さっき調べたとこと店名違くね…?)
同じく違和感を抱いた先輩が質問。
先輩「お店にもキョンシーいっぱいいるんすか?」
お姉さん「あ、いやウチはみんな各々自由にコスプレしてる所で〜」
一同「………………………..は?」
お姉さん「あーでも店にはもう1人キョンシー仲間居たかなぁ」
……。
やっちまった。
全員が言葉を失い会話が途切れそうになる。
急いで返答する。
俺「…..まぁ、ハロウィン近いっすもんね」(この時は10月末)
あとから聞いた話だが、同期くんによるとこの時の俺は死人のような顔をしていたらしい。死者の国、行きたかったなぁ。
さすがにこんな時間かけて案内させて「やっぱ違うとこ行くわ!」とは言えず、このまま完全ノーマークの店に入ることに。
お姉さん「着きました!ここの2階がお店なので、入口で待ってますね!」
このまま逃げてやろうか?と全員が思っただろうがまだ人間の心があるので2階へあがり入店。
確かに店内は狭く、カウンター席が数席ほどしかなかった。の割に風船が大量に飾り付けられていて通りにくい。
カウンター席に並んで座り、ドリンクの飲み放題コースをそのまま注文。まぁ1時間だしササッと過ごしますか。お姉さんキョンシーと話してたらすぐでしょ。
…5分経過。
キョンシー女との話はまるで弾まなかった。
こんなことありえるのか?サシならともかく、3対1でこんなことになるとは。とりあえず注文したお酒を作ってもらい、その隙に体勢を整えよう。
キョンシーにバレないよう隣の同期くんに助けを求めて視線を送る…が、何やら様子がおかしい。
俺「おいどうしたんだよ、腹でも壊したか?」
同期「……」
視線を下げ一点を見つめる同期くん。さっきまでのほろ酔いモードとはまるで面構えが違う。万引きでもバレた?
同期「あの…奥の子…」
と俺に耳打ちしてきた同期くん。
キョンシー女の後ろのカウンターにいるのは警官コスの女の子。あの子がどうかしたのか?
同期「……同級生…かもなんすけど」
真顔で俺に耳打ちする彼の声は震えていた。
「えっ知り合い!?」と思わず大きな声を挙げそうになるがぐっと堪え、続ける。
俺「向こうは気づいてる?」
同期「いやなんか、めちゃめちゃ目合うんすよね…」
俺「いやでもまだ確定じゃないんでしょ?堂々としとけ、きっと他人の空似だってw」
同期「声とかテンションもなんか似てて…」
俺「気のせい気のせい✋」
同期「でも最近コンカフェでバイト始めたって言ってたし…」
じゃあ確定だよバカが。
ありゃお前の友達だよ。
同期「マジで一気に酔いが冷めました…」
そう言い残しトボトボとトイレへ消える彼。
同期くん撃沈。
この間にキョンシー女はドリンクを作りあげ会話を振ってくる。こちらの残機は2。残った俺と先輩で盛り上げるしかない。
先輩「なんかやってるゲームとかあります?」
いいぞ先輩、とりあえずは基本のジャブで様子を見ようぜ。
先輩「まぁ俺はあんまりゲームとかやらないからわかんないんすけど」
馬鹿野郎。会話する気ないだろうが。
しかし先輩、こちらに視線を送りニヤリとする。
先輩(ここは俺がパスを出すから、そっちで盛り上げてくれ…!)
なるほど、俺が女性と会話をするの苦手なの知っているからパスをしてくれたってことか。やるじゃねぇか。
そのパス…受け取ったぜ!
ここで同期くんも帰ってくる。ナイスタイミング!
お姉さん「あ〜私結構ゲームやるんですよね。第五人格とか!」
先輩「やってない」
同期「やってない」
俺 「やってない」
気まずい空気が流れる。
お姉さん「え〜〜後はスプラとか!」
先輩「やってない」
同期「やってない」
俺 「やってない」
キョンシーもなんだか申し訳なさそうにしている。マジでごめんて。
お姉さん「APEXとかもやったり~」
先輩「やってない」
同期「やってない」
俺「やってない」
えーっと、帰る?
お姉さん「え〜じゃあスマブラは?」
俺「おっ!!やってる!!」
先輩と同期くんが「助かった!」という面持ちでこちらを向く。やっと会話の種が見つかった。さっきまで会話が続かなすぎてキョンシーにずっと飲み物作らせてたからな。会話弾まないと逆にがぶ飲みするんすね。
俺「使い手誰ですか?」
姉「ミュウツー!」
俺「え、おれも!!!!!」
ここはマジでびっくりした。
あんなにファイターがいるゲームでぴったり使い手が一致するとは。神様ありがとう。
姉「ミュウツーしっぽの攻撃が優秀ですもんね〜」
俺「いやそれな〜上投げバーストとかかっこよくて大好き!」
姉「わかる〜」
ミュウツーネタで5分くらい稼いだか?ちょっとだけ会話が盛り上がる。でもだんだん失速していき…
先輩「コークハイください」
同期「カシオレください」
俺 「烏龍茶ください」
そして会話もリセットされた。
出てきた飲み物を飲みながら必死に何かネタを探す3人。
ここで先輩が口を開く。お、いけるか?
先輩「え~っと、お姉さん、きょうだいとかいますか?」
ドデカい弾を撃ち込むかと思いきやまさかの空砲。
兄弟いたとて、何?
お姉さん「姉がいます」
お前も答えなくていいよ。
先輩「俺も兄いる!」
同期「自分も兄が」
俺「まあ、姉と弟が」
お姉さん「じゃあみんな上に姉兄いるんですね!」
先輩「そうっすね!ハハハ」
一同「……」
先輩「…あ、コークハイください」
そりゃそうだろ。
家族構成聞いたって話は膨らまないんだわ。その沈黙は模範解答であってるよ。
その時。
パァン!!!
店内に飾り付けられていた風船が爆発した。
従業員たち「キャ~っ」
…もう解放してくれ。
その後もお互いの共通点を探っては薄い会話を広げる“作業”を繰り返し遂にその時が来る。
お姉さん「もうそろそろ1時間ですがこのままお会計ですか?」
「延長どうしますか?」と聞いてこないあたりお相手もあまり盛り上がってなかったらしい。ごめんよ。
そのまま料金を払い店を出ることに。
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外に出るとつめたい夜風が3人の間を通り抜ける。もうこんなに暗くなっていたのか。
無言のまま星空を見上げフーっと大きく息を吐く。デスゲームをクリアし現実世界に戻ってきた人はきっとこんな感情なのだろう。
このままお開きなのも後味によくないものを残す。どこかカフェに入って反省会をしようかと提案しかけた、その時。
耳に流れてくる軽快なMUSIC…。
『めいどり~みん♪めいどり~みん♪』
一同「……!」
『夢の国で遊び~ましょ♪』
同期「たっぷり~の愛をこめて…♪」
俺「お給仕笑顔で頑張っちゃう…♪」
秋葉原に上陸したことがあるオタクどもなら必ず一度は聞いたことのあるこの曲。
大手メイド喫茶『めいどりーみん』のテーマソングだ。
先輩「このままでは終われねぇ……のはお前らも同じようだな」
光を失った3人の瞳に再び生命の色が宿り始める。
同期「やれやれ、ここからが本番ってトコですか…」
俺「付き合いますよ、とことん…!」
そう言い目的地を得た3人の足は大地を踏みしめ、光り輝く地へと向かうのであった。
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めいどりーみんはビルの2階と3階にあった。入口からエレベーターでとりあえず2階まで上がってみる。ドアが開くと華やかなBGMと共に光あふれる夢の国が目前に広がる。店内は先程のカフェとは違い明るく、なにより盛り上がっていた。
『ルカルカ★ナイトフィーバー♪ 弾けるリズムに合わせて♪』
滅茶苦茶懐かしい、平成のヒットボカロソングが響く店内。それに合わせて勝手に踊ってるメイド。英語のメニュー表を見ながら笑顔で卓を囲む外国人客。
…やばい、すでに超楽しい。
俺らは全員メイド喫茶に入ったことがなかったのでその旨を入り口のメイドに伝える。
メイド「初入国のご主人様で~す」
一同「「「入国っ…!?」」」
そうだ…。どこかで聞いたことがある。「めいどりーみん」のコンセプトは「夢の国」。来店の際は入国、退店は出国と表現すると。ということは……
メイド「初入国のご主人様にはこちら、『めいどりーみんパスポート』が発行されます!」
一同「「「パスポート!?」」」
そう、初回はこの店の会員カードの役割を担うパスポートの発行から始まるのだ。早速メイドがピンク色の台紙を3つ運んできた。
なんだかオラ、スッゲ―ワクワクしてきたぞ。隣を見るとおふたりも満足そうにニコニコスマイルを浮かべている。
同期「さっきの店のことはもう忘れましょう」
さっきの店で特にダメージを受けていた彼も嫌なことを綺麗に忘れられそうで良かった。ここはそのくらいのしあわせ空間。
メイド「それではご主人様のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
会員証の名前になるのでこの国にいる間はずっとその名で呼ばれることになりそうだ。慎重に考えたい。
でもちょっと面白い名前とかも付けたい自分がいる。う~ンどうしようか。
しかし俺と同期くんが悩んでる隣で、先輩はすぐに「あ、じゃあこれで」と決めてしまう。すげえ。
先輩は本名をモジったニックネームで結構「いかにも」って感じのだった。まあ、シンプル…なのか?変だけど。
1人が決まってしまうとこちら側も焦る。何よりメイドさんを待たせてしまっているのが申し訳ない。先輩はメイドさんの事を配慮して名前をすぐ決めてくれたのかもしれない。その優しさ、かっけぇっす。めっちゃ変な名前だけど。
俺「ねぇ、名前決まった?」
同期「いや全然っす…」
俺「前に行ってたコンカフェではTwitter名で登録したから超つまんなかったし何か考えたいんだよね」
同期「もう『ミュウツー』とかでいいんじゃないですか」
お前さっきの店引っ張てんな、だいぶな。
メイド「もしよろしければこっちで名前つけるってのもできますけどどうします?」
先輩「!?!?!?!?!?」
俺&同期「あ、じゃあお願いします!」
明らかに先輩は羨ましがっていたがもう遅いです。思いっきりパスポートにペンで書かれてますよ。奇天烈な名前が。
メイドはまず俺の事をじっと見つめる。そして5秒後くらいに「よし、『くろすけ』で!」と命名。
理由は「服が真っ黒だから」だそうです。かわい~
まあ自分daisukeっていうし、ちょうどいいんじゃないかな。この国では真っ黒コーデしか着られなくなったけど。
メイド「じゃ、次は……ってこっちも黒!?」
そうなのだ。実は同期くんも真っ黒コーデというまさかの展開。お嬢ちゃん覚えときな、オタクは黒い服を着るんだぜ。
メイド「え~と、じゃあ『めがねくん』で!」
理由は「眼鏡をかけてたから」だそうです。わかりやすいね、めがねクン。
無事全員の命名が完了したゴッドマザーメイドはそのまま流れるようにメニュー表を広げる。
いろいろ説明を受け、とりあえず「お食事コース」を選択。ちなみにメイドさんのミニライブも注文できるらしい。
メイド「こちらがミニライブのメニューです」
と、ページをめくるゴッドマザー。へぇ~結構曲あるんすねェ~と眺めていると俺と同期くん、ほぼ同時に眼(まなこ)をかっ開(ぴら)き、
「「みるてんあるじゃん!!!!」」
※アイドルグループ「≠ME」の大人気曲『てゆーか、みるてんって何?』一時期TikTokでバズり散らかした。
このアイドルグループを推している我らとしてはこれ以外の選択肢はない。先輩の意見は聞かずノータイムで勝手に注文。
食事とドリンクも併せて選び、注文を受けたメイドはそのまま下がっていく。
ふう、とりあえずは料理が出てくるのを待つだけか。その前にトイレだけ済ませておこうかな。
俺「すみませ~…」
と言いかけたところで止める。危ない危ない。この国でのルール説明をさっき受けたばかりじゃないか。
気を取り直して…コホン。
俺「にゃんにゃ~ん」
この国ではメイドを呼ぶときは「にゃんにゃ~ん」と言う。これが鉄の掟。
メイド「は~い、いかがなさいましたか?」
隣でニヤニヤしている同僚2人を無視しメイドにお手洗いの場所を聞く。
俺「あの、『お花畑』行きたいのですが」
同僚「「!?」」
メイド「お花畑でしたらあそこの角を曲がって真っ直ぐです!」
俺「ありがとうございます」
メイドも頭を下げてそのまま立ち去る。
先輩「え?何、お花畑?」
同期「トイレ?ですか?」
まったくこいつらは何を言っているんだ。この国ではお手洗いをお花畑と呼ぶのは常識だろうが。
俺が留学経験で開花させたのは───“その国の文化に適応する能力(スタンド)”だッッ!! 差が出たな。
…という笑みを浮かべ席を後にする。トイレ行ってきまーす。
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そんなこんなで料理を待っているとメイドがお食事コースに付属していたグッズを持ってくる。
メイド「今回ご主人様たちにはくまさんになってもらいます♡」
そう言われ渡されたのはくまさんカチューシャ。全員その場で包装を開け装着。
3人で顔を合わせると(うお…)という表情になる。
メイド「かわい~♡」
まじ?じゃあいいか……(チョロい)
その後料理が運ばれてくる。
俺が頼んだのは『くまたんカレー』。めっちゃ可愛い。
メイド「くまたんが逃げちゃう前にお召し上がりください☆」
なんて素敵な表現。
おふたりはオムライスを注文。やっぱ定番だもんね!
先輩は辛いソースのオムライス。お絵描きでは「萌」の字と肉球を書いてもらってました。
そのまんまか~い(笑)って思ってたけどチリソースのホットさの「燃え」とかけてたらどうしようって今思ってゾクッとした。
同期のめがねくんはデミグラスソースのオムライス。お絵描きは眼鏡をかけたくまさん。彼はデミグラスには目がねえからな。知らんけど。
メイド「それではみなさんで一緒におまじないをかけましょう~」
一同(こっこれはまさか…!)
メイド「私の合図で一緒に『萌え萌えキュン♡』ってやってください☆」
一同「「「き、きた~~!!!」」」
あの有名な儀式を実際に体験できるとは!実在したんだ!
メイド「それではいきますよ~?おいしくなぁれ」
一同「萌え萌えキュン♪」
た、楽し~~~~~~~~~~っ
そんで食べてみるとびっくり。味、美味しいんだよ。
こういうコンセプトカフェって雰囲気にだけステータス全振りして料理はレトルトとかで済ませてるっていう勝手なイメージがあったけど、美味しかったです。おまじないは本物です。
思わず「星999つ!!!」と狂った堺正章になりかけたがメイドがやってきてお待ちかねのミニライブの準備を始める。
ステージ上にライブをしてくれるメイドさんが現れる。ウチらの席はステージ真ん前。超VIP席。
曲が始まると振り付け完全コピーでメイドさんが踊りだす。本物のアイドルのライブではこの距離で眺められないもんね。
これはなかなか素晴らしい…
「そうは思わんかね?」と、ちらと隣の同期くんの方に目をやり吃驚。
───彼も振り付けを完コピしていた。
ステージ上で踊るアイドルメイド。そのド真ん前でオムライスを食いながら完コピダンスをするくまさんオタク。
その空間にいる者全員がその異様な光景に目が釘付けになる。
他の客(あの卓やばい…)
メイド(この卓やっば…)
外国人客(Ano Taku is Yabai.)
…そんな中そのままフルで踊りきるメイド。かわいかった。めがねくんもお疲れ。
「お兄さん振り付け完璧で焦りました~笑」とアイドルメイド。
まぁこの子カメコやってるくらい凄いファンなんでね、許してあげてください。今度は俺と先輩も完コピしてきます。
その後もたっぷりとしあわせな空間を堪能しそろそろお時間となる。
メイド「ご主人様、最後にチェキ撮りましょう」
初入国記念にチェキをみんな撮ることに。一緒に撮るメイドは自由に選べるらしいが顔も名前もわからないのでとりあえず全員がみるてんを踊ってくれたメイドさんにお願いする。
メイド「ポーズどうしますか?」
あ~そうか…そこも考えないとな…。
変なポーズとか考えてもしょうがないし出国時間も迫っていたため、
俺「じゃあ俺がハートマーク作るんで、お姉さんはそれ無視してグッドするやつやって下さい」
メイド「でた~!なつかし!笑 ほんとオタクくんさぁ笑」
伝わってよかった。kwsk知りたい人は「片思いハート」でggrks。
全員分のチェキが完成し、そのままお会計。
メイド「ご主人様、ご出国で~す」
スタッフ全員がこちらを向き「いってらっしゃいませ」と挨拶をしてくれる。そのままエレベーターを降り外の世界へ。いってきます。
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入国前の空気とは打って変わって街は輝きを取り戻していた。夢の国に1時間いただけで風景はこんなにも変わるものなのか。
時間は経ち、日も完全に落ち先程よりも暗闇は濃くなっているはずだがこの瞳に映る煌めきは何なのだろう。大きく深呼吸をし外から2階を見上げる。窓から暖かくあふれる光に働くメイドの影が重なる。
先輩「こんな幸せな国があったんだな」
同期「…また来ましょう」
男たちはくるりと向き直り、軽快なMUSICを背に駅の方へ歩き出した。
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次の日も仕事なので「ではまた職場で!」と2人と別れる。
電車の中で今日1日のことを思い返す。赤羽の飲みから始まって、いろいろあったな…。普段から外出はしないのでどっと疲れが出てきた。もうしばらくは飲み会はいいかな…。
ひとりで帰りの電車に揺られながらそんな余韻に浸っているとLINEの通知が来た。なんだろう。
同期「LINEグループ作ったんで参加よろです!」
グループ名 【メイド部】 参加者 : 同期・先輩
俺「……。」
コイツら…。
すぐにグループに参加し、メッセージを打ち込む。
俺「来月、どう?」