4月といえば年度の始まり。今までの自堕落な生活から心機一転、新たなるスタートを切るのにふさわしい時期。
1月にもそんなこと言ってた気がする。ワンクッション置いた2段目だ。
言い換えれば「1月で新たなる年に向けて心を切り替えた筈のナマケモノたちよ、もう一度チャンスをやろう」ということだな。実に都合のいい、さすが我が誕生月。
心の切り替え、新たなる目標……。かく言う己も1月、2024年を迎えたあたりで一丁前にも「今年の抱負」なるモノを掲げていた。
過去の記事を読み返してみると「家計簿をつけゆ!」などと大はしゃぎしていた。
いやいや・・・W (^^;)
どうせ3か月以上前の自分なんてほぼ他人なんだから、何らかの習慣を独りでずっと守り続ける事なんか無理なのさ。
細胞の入れ替え周期の繰り返しでおれの自我なんてものは何倍にも希釈されて、もうこれっぽっちも残っちゃあいないし、そもそも過去の自分より今のおれの方が圧倒的に賢いんだから偉そうに指図するな、人生経験において3か月以上のキャリアの差がある事を覚えておけモンキーが!
という思想のもと、1月の記事に設定した目標「家計簿をつけよう!」のクエストは終了です。
(2月に家計簿どっかいったし)
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さて、冒頭すこし触れた通り4月は自分の誕生月である。
基本的に部屋に籠った生活が続いており自宅が軽く真賀田研究所と化している。PCに「すべてがFになる」と暗号を残す勢いである。
そこで4月らしい「心機一転」の意を込めて“生活の質の変化”に重きを置いた、ある家具を自分に買ってみた。
イエス、「オットマン」である。
言い換えれば足置きソファ。
ちょくちょく我が家の写真に写る安楽椅子と似た材質・高さのものを探して買ってみたがこれまた生活の質に劇的な変化があった。
ほんとうに家からでなくなった。
正直足がすぐ床について座り心地に不満があったのだが、それをこの家具が解消。オットマンが快適すぎると話題に。
その日は買い出し行く予定だったけどそれすらサボってマックデリバリー頼んだ。おわりだよ。
しかしただダラけている訳ではない。
オットマンで過ごしやすくなった事による、目に見える変化の指標が今月の読書量だ。
普段からそこまで読書家ではないのだが、今月だけでなんと12冊の本を読み終えることができた。
画像からわかる通りほぼほぼミステリーなのだが、半分くらいは密室トリックが使われているあたりこの快適密室空間(自室)に不穏な空気を漂わせている。
しかし今月読んだ本はどれも面白かった。いろんな本を買ってみて自分に合わなかったり、難しすぎたりする本は普通に途中で諦めるんだけど、ちゃんと全部ハマることができた。その中でもドカンと一発すげぇ好みの小説もあったのだが───それはもう自身のTOP10に食い込むくらいに───小分けにいくつかピックして紹介しようと思う。
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まずはこれ。『ルビンの壺が割れた』
あらすじ
「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」――送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め……。先の読めない展開、待ち受ける驚きのラスト。前代未聞の読書体験で話題を呼んだ、衝撃の問題作!
数年前からずっと話題になってたけど何となく読んでなかった本。めっちゃ短い。自分は安楽椅子でコーヒー飲みながら2時間弱で読み終わった。
内容も全然難しくなく、それでいてガツンと来る展開がなるほど現代ウケ間違いなしだと納得。数回に分けて読む長編よりも短編高火力の方が今の若い世代なんかには好まれると思う。
個人的には普段本読まない人に、読書の入り口として勧めたい傑作。
ただ、帯の「日本一の大どんでん返し」ってのはどうだろうなぁ…葉桜とかじゃない?
次は『少女庭国』
こ~れはね、なかなかやばかったね。
あらすじ
卒業式会場に向かっていた中3の羊歯子は、気づくと暗い部屋で目覚めた。隣に続くドアには貼り紙が。“下記の通り卒業試験を実施する。ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ”。ドアを開けると同じく寝ていた女生徒が目覚め、やがて人数は13人に。不条理な試験に、彼女たちは…。中3女子は無限に目覚め、中3女子は無限に増えてゆく。これは、女子だけの果てしない物語。
あらすじ読んで「謎解きデスゲームもの」かと思いきや、完全に裏切られた。なんとこの小説にはストーリーも、メインキャラクターも、ネタバレも存在しない。
どういうことか軽く説明すると、この本はあらすじにある「卒業試験」に巻き込まれた別々の女子生徒たちがどのような運命を辿ったのかザっと63パターン記された1冊なのだ。
ルールの通り隣の部屋を開けて1vs1で殺し合う少女もいれば、よくわからない状態のままパニックになって自殺する少女もいる。中でも面白かったのが「指図されることが大嫌いな性格」の子のお話で、試験の内容を無視して隣の部屋をバンバン開けて前に突き進むパターン。
「誰が仕組んだかわからないけど試験ごとぶっ潰そう」と考えてドアを開け続けるうちに少女の数が数十、数百と増えていき、試験のクリア条件「最後の1人になる」が達成できなくなっていってしまう。そこでどうするかというと少女たちはその空間で「暮らす」という選択をし文明を1から作り上げようとする。
食文化は排泄物食から人肉食へ(ドアを開けたら無限に少女が出てくるので)、破壊したドアから鉄を入手して鉄器に利用、調味料の塩は汗から再利用…等を繰り返し長い年月をかけて巨大都市にまで発展する。これが“少女庭国”…すごすぎ。現代の人類史・文化史を新たな観点から書いた超奇書。万人にはお勧めできないがすんげーおもしろかった。
今月読んだ本で紹介する最後は『堕天使拷問刑』
これに関してはごめんだけどおススメとかではない。ただ、クッソおもしろかった。
一時期プレミア価格(3,4万とか)で取引されてたカルト的な人気を誇る青春オカルトミステリだったんだけど、なんと去年待望の復刊。3600円で買えた。本当にありがとう。
あらすじ
両親を事故で亡くし、母方の実家に引き取られた中学1年生の如月タクマ。が、そこではかつて魔術崇拝者の祖父が密室の蔵で怪死した事件が起きていた。さらに数年前、祖父と町長の座をめぐり争っていた一族の女三人を襲った斬首事件。二つの異常な死は、祖父が召喚した悪魔の仕業だと囁かれていた。そんな呪われた町で、タクマは「月へ行きたい」と呟く少女、江留美麗に惹かれた。残虐な斬首事件が再び起こるとも知らず……
あらすじから伝わるおれのツボ内容。いざ届いてみるとその分厚さに驚く。
ページをめくってみてさらに驚愕。
まさかの2段!どんなボリュームよ!
実際読み終わるまで5日くらいはかかった。しかしあのボリュームを数日で読ませてしまう著者の文体センスも見事だが、なんといっても内容。てんこ盛りの闇鍋パーティーで全く飽きなかった。これに関しては本の裏帯を見てもらえればわかるのだが、
興味を引く悪趣味なキーワードがてんこ盛りだね……。
俺の大好きな不可能密室殺人から始まり、因習村の恐ろしいしきたり、悪魔や魔女の言い伝え、斬首事件、そして多重解決トリック。素晴らしすぎる。
途中とんでもないアリバイトリックがあったんだけど、読んでてピタリと当ててしまった。しかし流石に…と思っていた線の推理だったため終盤真相が明かされた時は嬉しさよりもドン引きが勝る内容だった。こんな推理を披露する探偵は嫌すぎる。
それと犯人の手口に心から戦慄したシーンがあって、「これはやられた」とトリックの伏線が回収された時に久しぶりに震えた。想像しただけで恐ろしい。
ここまでザっと感想を書いてみてミステリとしてめちゃめちゃおれの好みなのはわかってもらえてると思うが、実はこの物語の結末は思いもよらない着地の仕方をする。
そう、ただのオカルトミステリで終わらないのが本作の魅力。中学生の主人公の前にあらわれる謎の美少女とのボーイミーツガール。この要素もまた本作品に色濃く出ている。盛りすぎ盛りすぎw
閉鎖的な村を舞台に巻き起こる凄惨な事件と悪魔崇拝などの陰鬱なオカルト要素を見事個性的なキャラクターで締めた超デラックスな唯一無二の青春ミステリだった。これまたコアな要素てんこ盛り小説なので決して万人受けしない作品だが興味があれば是非。おれはここ最近では一番ハマった。
そういえば「名刺代わりの10冊」っていうハッシュタグをよく見かけるので現時点で本棚から好みの10冊を選んでみようと思う。せっかく傑作と出会えたのでこういう事をやりたくなってしまう。
①『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』
まあある程度読書好きなインターネットマンはみんな知ってる、ある意味名作。おれはこの作品が完全に読書への入り口になった。短いので一気に読めちゃうお手軽さと内容の衝撃さ、爽やかな読後感。元々ライトノベルだった事もあり非常に読みやすい。ジャンルは「青春暗黒ミステリー」。
②『エレファントヘッド』
去年読んだ本の中でぶっちぎりトップ。多重解決特殊設定ミステリなのだがトリックが凄すぎて2回鼻血出した。(マジ)
公式が「あらすじ、トリック、設定すべてネタバレ厳禁」といっている為詳しくは何も言えません。おれも何も知らず読んだ。個人的ベストミステリになった。
③『かがみの孤城』
初めて読書で泣いた本。謎解き要素あり、少年少女の冒険あり、いじめあり、感動ありの傑作。本屋大賞受賞作でアニメ映画化してる。完成度高いのでいきなり映画見てもいいかも。映画でも泣いた。この作品の驚くべきポイントは散りばめられた伏線の数々とその鮮やかな回収。そして結末のひとひねり。みんなにおすすめしたい。
④[映]アムリタ
とんでもない作品。たまたま書店で手に取って前情報なしで読んでみたらひっくり返った。そしてこれがデビュー作だというからさらにオドロキ。ポップな文体でサクサク青春ラブコメを読んでいたはずが…あ?これミステリか?段々と不穏になる内に物語の展開にのめり込んでいく。読後の余韻は忘れられない。これは間違いなくホラーの後味。そのまま著者の作品を順番に読み進めてしまった。そして待ち受ける6作目であり集大成、『2』。←激ヤバ。
⑤ようこそ地球さん
安定の星新一。小学生の時から変わらず大好き。どこから読んでもいいけど大好きな話『処刑』『殉教』が収録されてるこの本をピック。星新一だけで本棚のひと区画を占領するレベルで作品を持っているけど基本全部おもしろいのがありえない。(誉め言葉)しかも今まで紹介した小説と違い10ページ程度の「短すぎる」物語でバッチリ落としに来るのがまた凄いところ。読書の入り口として王道。
⑥死体泥棒
個人的トップオブぶっ刺さり作者 : 唐辺葉介のひと癖もふた癖もある狂気の純愛ラブストーリー。プレミア本。死んだ彼女の遺体を葬式場から盗み、家で保管するお話。それ以上でもそれ以下でもない。別に死体を愛でたり、サイコな一面があったりするわけでもない主人公の静かなる狂気を一人称視点で浴びせ続けられる。彼はただ恋人の死を受け入れられず衝動的に行動してしまっただけであり、描かれるのは異常性よりも彼女への愛。
⑦フェノメノ(シリーズ)
超絶大好きな青春ホラー小説。全6巻。コメディタッチの会話のテンポが良くサクサク読めるし、しっかり怖い。主人公のオカルト好き大学生とゲロ吐き電波少女とのボーイミーツガール。おもしろすぎる。この汚女子ヒロイン、割とガチで、出会ったキャラの中でトップの推し。キャラデザが安倍吉俊というだけで満点に近いのに個性が強すぎる。登場キャラクターが皆魅力的(すぎる)ので最終巻読了後の喪失感は数年経った今でも引きずっているレベル。もっと彼らの冒険を読みたかった。
⑧三日間の幸福
三か月だけ残して寿命をすべて売却してしまった男とそれを監視する女の話。残り少ない余生に楽しみを見出したり、心残りのないよう思い出の場所へ赴いたりと、焦りのない様子で最後の人生を過ごしていく。特に後半部分は本当に美しい。「自分にとっての幸福とはなにか」「価値のある人生とは」を考えさせられる。それとこの本のあとがき、冗談抜きで世界一良い。
⑨リリイ・シュシュのすべて
5,6年前に映画を見て「うわ……」となってしばらく経ってから小説を読んだ。全編ファンクラブの掲示板サイト上での会話形式で物語が進行していく。2ちゃんのスレみたいな。中盤、過去のライブで起きた殺人事件の犯人をファン達で議論し始める辺りから物語が急加速。そしてとあるユーザーがある独白をはじめ……。あまり類を見ないフォーマットの小説であり、その構成と読みごたえはなかなかのもの。完成度めっちゃ高いし読後のモヤっとした感じが好きな人におすすめ。あーいや、意外と余韻はドライかも?
⑩堕天使拷問刑
さっきの。
正直「好きな小説」で10冊挙げたら同じ作者のものばかりになってしまうので頑張って全員違う人のもので選んでみた。まあ全然現時点での話なのでこれからもっと好みの作品見つかるかもだけど、気になる作品はチェックしてみてね!
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オットマンの導入により快適な長時間の読書が可能になったため、陰鬱な話、難解な話ばかり読んでいる今日この頃。ちょうど『堕天使拷問刑』を読み終わり、十分余韻に浸ったあとで味変をしようとこんな本を買って来た。
うん、懐かしいね。死んじゃうね。我らが青春青い鳥文庫、そして「黒魔女さんが通る!!」シリーズ。
読んでて急に小学生になった気分になっちまったよ、女子の。さっきまで「密室殺人」だの「因習村」だの暗黒物語を読んでたところに元気で明るいメグちゃんが登場して全部搔っ攫っていった。
(内容は相変わらずオカルト系だが)チョコとギュービッドのコンビも懐かしくて泣きそうになったり感情のぐちゃぐちゃ感が押し寄せてきて…なんつーか、児童文学読むと死にたくなりません??
あまりに危険だったので一時この閉鎖空間から脱出。外に出よう。女児向け文学がトリガーの密室殺人が起こってしまう。
ここでふと思い出す。現在シャニマスと証明写真機がコラボしており(なぜ?)、好きなアイドルと証明写真が撮れるキャンペーンが開催中なのだ。シャニマスについての記事はコチラ
「急に何言ってんだ?」と思われるかもしれないが、急に思い出したんだからしょうがない。さっきまで因習村で怪死事件に巻き込まれてたんだ。
事前にネットで購入していた為QRコードを使って撮影をしてこよう。
感情がぐちゃぐちゃなときに隣にいてほしいのはやっぱり、
ギャルだよね!
心なしか普段より写りがいい気がする。(激キショ)
……ふー。
現実世界で外に出ても和泉愛依と証明写真を撮るくらいしかやることが無いンゴね……。
さて、帰ってこの証明写真と、児童文学をお守りにまだまだ積んである小説群を消化していこうとするかな……。
誰かおれをこの閉鎖空間から連れ出してくれ──────
閉鎖的な村から「月へ行きたい」と呟く江留美麗と心がシンクロしてしまう──────
めっちゃハマってんじゃん、堕天使拷問刑
みなさんも好きな小説10冊、選んでみてね👋