数年前にこんなツイートがバズった。覚えているだろうか。
「『狼と香辛料』好きは順風満帆な結婚生活を送れているが『アマガミ』好きは陰キャのままな人が多い」(意訳)
………(^_^;)ドキリ
『アマガミ』
『アマガミ』は、2009年にエンターブレインから発売された、PlayStation 2用恋愛シミュレーションゲームソフト。インターネットラジオ番組を皮切りに、ドラマCD化や漫画化といったメディアミックス展開が積極的に行われ、2010年と2012年の二度に渡るテレビアニメ化にも至った。
Wikipediaより
何を隠そうこの私も中学時代、思春期真っ只中であるにも関わらず数多の青春イベントをすっ飛ばし、狂ったようにPSP版をプレイしていた男である。
中学時代の自分の誇れるステータスと言えば「剣道部キャプテン」「アマガミスト」くらいしか思いつかない程である。死にて~
しかし『アマガミ』をプレイしていたからと言ってお先真っ暗な陰キャ道を突き進んでいるとは限らない。PSPのゲームは3本しか持ってなかったけど、そのうちのひとつがたまたま『アマガミ』だったというだけの話だ。
こうやって近い作品を比較して「こっち好きな奴は陰キャ!w」みたいなノリは実際よくある。
他の例だと「『イナズマイレブン』は陽キャで『ダンボール戦機』は陰キャ」というもの。ちなみにオレが持ってるPSPソフト、残りの内ひとつはダンボール戦機である。はい王手。
最後の1つも『極・魔界村』とかいう狂人しか買わないような激ムズ鬼畜アクションゲーなので総合評価が狂陰人(くるいんちゅ)ということになる。どなた様か、今すぐわっちの喉元を掻っ捌いておくんなまし!
しかしアマガミか……懐かしいな…
『アマガミ』にはメインの攻略キャラクターが6人おり、校内を自由に行動して仲良くなりたい女子と交流を深め親愛度を上げていく…といった、まぁわかりやすい目的のゲームである。
ギャルゲーにしては珍しく、ヒロインの髪色が全員現実離れしてないの、個人的にとても好感持てるんだけどみんなはどう?
イメージ内の「2次元キャラ」よりも造形がリアル寄りだよね
ちなみにアニメ版も1人4話×6人という短い構成で放送されておりめちゃくちゃ面白い。
あと毎回曲が良すぎる。全員見てね。
そんな中、ガキの俺はゲームを買ってすぐお気に入りのクールな後輩キャラ『七咲 逢(ななさき あい)』のルートを進めていた。
今見返すとほんとうに、なんとも中学生の頃のおれが好きそうなキャラクターである。素晴らしすぎ。みんなもそう思わない?
しかし七咲との会話を積極的に行っているハズがどういうわけか気がつけば担任の先生に告白してビンタをもらいゲームオーバーになっていた。なんで?
どうやらこの「七咲ルート」、アマガミのシナリオの中でも特に難しいと言われているらしく
当時何も知らないガキだった俺はこのあっけない結末にショックを受け少し熱が冷めたのを覚えている。
後輩と仲良くしているつもりがなぜか攻略対象外の大人に突然プロポーズするという奇行ぶり。どうなっちまってんだァ?
そんなにゲーム下手だったかなあ。。。でもいうて会話するだけのゲームだし…
単純に当時のコミュニケーション能力が低かっただけなのか?
………
というわけで
10年ぶりに再プレイします🔥
待ってろよ七咲ィ……
ところがこの『アマガミ』、エグい人気作品なのは間違いないのだが何故かリメイクがされていない。
リメイクをSwitchで出してくれれば大歓喜ものなのだが、中々そうもいかないものなんですかね?
という訳でまだ動くPSPを所持している職場の先輩にお願いしPSP本体とテレビに繋ぐケーブルを貸してもらった。
中学の頃使ってたPSPは少し珍しい緑色の機種だったのだが何回か経験した引っ越しの間にどこか行ってしまったらしい。泣
それでもソフトの方は無事生き残ってくれていたのでそのままプレイすることができる。えらい。魔界村はどっか行った。
こう見ると小学生→中学生のゲームの趣味が絶望的な成長の仕方してて目を覆いたくなる。
★いざ起動───
正直ゲロ吐きそうになってる。
感動して。意味わからん。
当然先輩のPSPなのでセーブデータは無し。はじめからスタートしていく。
名前は漢字も使えてフルネーム入力できるのだが、さすがに記事内で画像を使うことを考えダイスケだけにしよう…と思っていたら姓・名それぞれ3文字ずつしか入力できないためダイス・ダイスになった。学名ゴリラ・ゴリラみたいで嫌だなぁ。
ダイスケ・ダイスケの方が語感が良かったのに。マジョリカ・マジョルカみたいで
ダイス・ダイスで決定!ゲームスタート!
中学時代に体験した、懐かしの高校生活がまた始まる(?)
ーーーーーー
登校すると早速担任の先生が教室に入ってきて「クリスマスパーティーの実行委員を決める」というイベントが発生。
『アマガミ』はこのクリスマスまでに恋人を作るというゲームなのだ。
10年前路地裏でビンタしやがった高橋摩耶先生。もうその手には乗らねえ。
クリスマスまで時間がない。先生などに構わず七咲との出会いを果たすのだ、ダイス・ダイスよ。
七咲とは放課後、校舎裏で黒猫を見つけると出会うことができる。みんなもやってみよう。
なので日中は何もせず放課後まで時間を飛ばす。青春なんて知るか。キング・クリムゾン!!
ということで10年ぶりに再会。猫を探して這いつくばっていたら覗き魔と勘違いされるという奇跡の出会い。あるある~
はじめまして^^ところで弟の郁夫くん元気? ^^ (怖)
運命的な出会いといっても警戒されている為その場は逃げるように退散し、次の日の朝。
今日も同じ場所にて偶然七咲と遭遇。しかしダイス・ダイスのコミュニケーション能力が低いため会話が嚙み合わず、
初っ端からこの評価。
朝からひどいよ。
この後「てかあなたは?」と七咲から詰められ、お互い自己紹介をし「知り合い」くらいにはなれた。
ついでに「あ、一応先輩だったんですね。あまりに落ち着きがないので同学年だと思ってました」などという煽りも入れられた。あ、あん、あんまり俺をお、おこ、おこらせるなよ…? ビキビキ(陰)
さてここからどう攻略したものか。
次の休憩もしつこく七咲に会いに行こうと、1年生のフロアへ。大人を舐めやがって…
しかしその途中高橋先生に呼び止められる。
どうやら「最近たるんでいる」との事。廊下で堂々と大説教をくらうダイス・ダイス。
しかし
あれ、こいつ悦(よろこ)んでね?
待つんだダイス・ダイス!10年前と同じ匂いがする!このまま突っ走るんじゃあない!
しかし七咲ルートは今のところ一方通行。そのまま話を進める。
次の休み時間、再度1年生のフロアへ行くと七咲からこんな事を言われる。
待ってくれ七咲。まだダイス・ダイスは気づいていないだけなんだ。まだやり直せるはずなんだ。
本人に自覚させるんじゃあない!
七咲から「恋愛は自由ですし、好きにやってみたらいいんじゃないでしょうか」などと言われその場は解散。
七咲になんか構ってられっか。もう帰ろうぜ。
あ?
終わった。
ムズすぎだろこのゲーム。
今まで分岐点なんか無かったぞ。
…あれ?
ということはここの選択肢次第では切り抜けられる…?
たしかにゲームを開始してから初めての選択肢画面だ。まだ舞える。突破口を探すんだ。
考えろ、考えるんだ。冷静になれダイス・ダイス。
まず、真ん中の『僕と結婚して下さい』は普通に考えて無い。
さっきまで「もしかして、僕って高橋先生のことが…」状態だったことを考えると話があまりにも飛躍しすぎである。冷静になれ。
そして次に何を消すべきか、なのだが
10年前、唐突にこんな展開になった俺はたしか『男らしさを見せる』を選択してゲームオーバーになったはずだ。そうだ、思い出してきた
残るは1番下の『勉強以外の事も教えて下さい』だ。
これならもし不審がられても「生活態度や来年の受験に向けて人生経験的なアドバイスをレクチャーしてという意味であって…」などと言い逃れできる。
しかもついさっき「最近たるんでる」と指導されたばかりじゃないか!
そうだ、これ以外ありえない。見えたッ! 隙の糸!
…ム?
…いけるか?いけるのか?
い〜や落ち着けバカ
それだけは絶対に違う。やめるんだ。
おい待て!もどれピカチュウ!
もどれーッ!
あ
えっ……
……(・。・ ;)?
どうやら足を踏まれた様子。範馬勇次郎みたいな殺人ハグされてるのかと思ってちょっと焦った
ほんとしっかり頭は冷やせバカが
…ビンタこそ貰わなかったものの思いっきり足を踏まれたご様子。結局こうなるのね…
しっかり反省しろよ、ダイス・ダイス。
おい
こいつマジか
狂人(くるいびと)?
………
10年前と何も変わってねーじゃねえか!
まるで成長していないよー!!
調べてみると、七咲ルートは少し時間を置かないと先生のBADENDルートに入っちゃうらしい。初見殺しすぎるだろ。初見じゃないけど
ーーーーーー
気を取り直して七咲攻略を再開してみるも…
全然好感度あがらないねェ!!!🌋
いくらなんでも気まずすぎりゅ!😖
これはゲーム内でたまに起こる「会話モード」と呼ばれるものであり、コミュニケーションを通して好感度を上げちゃおうというミニゲームである。
このように10種類のジャンルの会話のネタが手札にあり、それらの中から「相手の好みのネタ」を的確に指定してゆく必要がある。画面に映っているのは幼馴染の桜井梨穂子(さくらい りほこ)。
ちなみに右上の色分けされている吹き出しを見れば相手がどんなネタで喜ぶのか大体わかる。
例えば水色があれば「世間話」、黄色なら「娯楽」を選択すれば良い。これを5ターン繰り返す。
しかし七咲の場合
↑完全なノーヒント!w
この状態で5ターン耐久はマジでキツい。
その結果が先程の気まずい会話である。
もういいよ、俺、幼馴染の梨穂子といい感じになるから…
と、ここで茶道部の先輩に絡まれ仕事を手伝わされるイベントが発生。ちなみに梨穂子はお菓子大好き茶道部員である。ナイスタイミング
左の飛羽愛歌(ひば まなか)先輩くそ好き
部室に招待してもらい、麦茶をごちそうになるダイス・ダイス。
ここで先輩から嬉しい情報が
はは〜ん、さては梨穂子…おいらに“ホの字”やね?
その後梨穂子本人も登場し先輩も交えてワイワイ。た、たのしい…
もう全然梨穂子でいいな。
うん、梨穂子しか勝たん。
梨穂子で行きましょう。
家に帰ると妹の美也も応援してくれている。よし、にぃに頑張っちゃうぞ!(^^)
ーーーーーー
その後他の女子たちを置き去りにして梨穂子と学園生活を共にするダイス・ダイス。
ある日先輩たちから「お似合い」との評価もいただいた。
その調子で突っ走った結果
好感度グラフ、梨穂子のひとり勝ち状態に。
ここまで案外サクサク行けてしまったので正直驚いている。
俺って、やっぱり対女子コミュニケーション能力…たかめ?^^(七咲を除いて)
てことは
現実世界でも、いける?
こんな短期間で女の子の感情を「スキ」まで持っていけた俺って、なにか「才能」があるんじゃないか?
中学時代はオタク活動ばかりで何も青春をしてこなかった。そのせいで今でも自分のステータスが狂陰人からアップデートされていないのだ
でも久しぶりにプレイして、自信が湧いてきたよ
「俺には乙女たちと楽しく会話する能力がある」と…!
こうしてはいられない。時間は有限なのだ
今こそ、あの歪んだ青春に終止符を!
うおおおおおお
いいのかよ
ーーーーーー
相手はよく記事に登場する指原さん(仮)、ノリの良いキラキラ女子。
そして本当に当日の約束でパフェを食べに来た。
2人分のパフェを注文し、出来上がるまでドリンクバーで時間を潰す。
この時間…「雑談タイム」こそ、まさにアマガミで培った「コミュ力」を発揮する時。
おれはダイス・ダイスとは違う。七咲ルートの二の舞いにはならないぞ。
とりあえず、「世間話」が1番安定だな。
ダイス「最近、寒くなってきたな」
指 原「それな〜」
よし。パーフェクトコミュニケーションだ。
パフェも運ばれてきたしフィールドは完璧。
この勝負、貰った
パフェを食べながら雑談を続ける。
次は…「食べ物」を選択だ
ダイス「そういえば、なんで『パフェ』っていうか知ってる?」
指 原「いや?なんで?」
ダイス「パフェという名前は、フランス語の””parfait””から派生したもので、””parfait””は””perfect””と同義で、つまり””完璧な””または””完全な””という意味があるんだ。これは、パフェが「完璧なデザート」であるという意を込めて命名されたってことらしいよ」
指 原「へ、へぇ〜…」
ダイス「ただし、パフェの原型となったフランスの””parfait””は、基本的には生クリームを泡立てて加えた軽いアイスクリームの一種で、色や食材のバラエティはそれほど重視されていなかったんだ。この意味で言えば、いま僕らが親しんでいるパフェは、フランスの原型からかけ離れた形に進化していると言えるんじゃないかな」
指 原「……」
うんうん。いい調子。うまく会話ができているじゃあないか。
このままコンボを繋げていくぞぉw
ーーーーーー
ダイス「……ってことみたいだよ」
指 原「……」
ダイス「……」
指原「……ドリンクバー取ってくる」
ダイス「おう!行ってらっしゃい!(^^)」
指 原「……チッ」
ーーーーーー
指 原「はい、ドリンクバーにマグマがあったから取ってきてあげたわ」
ダイス(あれ?もしかしてちょっと嫌われてる?)
ダイス(いいやそんなはずは無い。こんなにも会話を続けられているんだ。)
ダイス(マグマだなんて、なかなか面白い冗談を言ってくれているじゃないか。彼女も楽しんでくれているようだ)
ダイス(それじゃあ、場も温まって来たところだし)
指 原「あまりこっち見ないでくれる…?」
ダイス(こいつ、照れてるなwwとてもいい雰囲気だwwここで…)
ダイス(ムフフな話題で距離をグッと近づける!!!)
行くぞ!!!!
ダイス「〇〇〇が※※※※で▶▶なんだけど、これがまた□□□□□で…wwそしたら★☆の様子が××になっちゃって」
ダイス「☆※▶▶☺にも$♡が□×♪〇〇とは思わないじゃん?」
ダイス「▒▒▒▒▒▒が▒▒▒▒▒▒▒▒▒で▒▒▒▒▒▒と▒▒▒を▒▒▒▒wwwww」
ダイス「それで
バチィン!!!!
チュン…
チュンチュン…
ダイス「ハッ!やばい遅刻だ!」
ダイス「美也〜!なんで起こしてくれなかったんだよ!」
ダイス「せっかく今日は梨穂子と一緒に登校する約束してたのに……急いで行かないと」
ガチャ
シーーーカカカカ
……
〜♪
ーーーーーー
声1「先生……それでダイスケの様子は…」
声2「あまり良いとは言えません」
声1「そんな…」
声2「一時的な脳のショックにより自分をゲームの主人公のように空想してしまっているようです」
ダイス「へ…へへ…梨穂子…梨穂子…」
声1「『リホコ、リホコ』ってたまに口にするんですが、これとはなにか関係が…?」
声2「…わかりません。現在こちらも調査中です」
声1「そうですか……」
声2「しかしこの症状、私にも覚えがあります」
声1「 !! いったい、ダイスケはどんな…」
声2「Assuming, Mad, Gab to Me」
声1「…えっ?」
声2「つまり思い込み(Assume)、狂気(Mad)、おしゃべり(Gab)、自分と(Me)この頭文字を取り」
声2「私たちはこう呼んでいます」
───────True End
『 [ア] [マ] [ガ] [ミ] 』